産婦人科問題は誰の責任か? (下)
尾鷲市泉町 日下部 壽史
産婦人科の問題では自分たちのすることだけが正しくて、他の人の意見を聞こうとしないことも問題を大きくした原因です。
ところが問題がこじれそうになって、しかも契約期間が切れる寸前になって初めて、産婦人科医師の報酬額を議会にも公表し、しかも自分の責任は棚に
上げて、「仕方がなかった」と開き直って説明しました。
そうこうするうち、今度は5千数百万円では高すぎるので報酬額を下げるように交渉したが、医師は気に入らないと言って契約の延長ができませんでした、
と議会に報告しました。
本当に市民のことを思って連れてきたのなら、来てもらうためにはこれだけの報酬が必要だと最後まで主張するはずです。議会にちょっと言われたからといって、
こんなにあっさりと「だめでした」と言えるはずがありません。
たとえ、議員全員が反対しても必死で説得をするはずです。しかも議会も、どうしても5千数百万円ではだめだと言っているわけではなく、交渉結果によると
言っているわけですからなおのことです。
簡単にこんなことを言えるのは、市民のために必死の努力をして連れてきたのではなく、金の力にものを言わせて簡単に連れてきたからだ、と考えられます。
それにしても困っている市民がいるのに、市長として堂々とこのようなことを言える神経が理解できません。
誰でもそうですが、悪いことをしているわけでもなく、むしろ休みもないくらい頑張っていたのに、当初の約束を破って今までの報酬より安い金額を提示されて
「はい、そうですか」と言う人はまずいないと思われますし、そのような交渉をすること自体も気が引けます。
それなのに平気な顔で交渉してその結果、だめでしたと報告するようなことは、小さな子どもでもしないと思います。
これが「尾鷲市を預かる市長のすることか」とあきれる以上に悲しくなります。人というものはどういうものか、一から勉強し直した方がよいのではないでしょうか。
確かに議会もただ文句を言うだけで、建設的な意見を出さないというような問題がありますが、何と言っても市長は執行権を持っているわけですから、自分が決めた
ことを責任を持ってやり遂げる。もし失敗したときは議会の責任にしないで全責任を取るくらいの意気込みを見せてほしいものです。
それを、私が一生懸命連れてきたのに議会が反対したので、医師は怒って帰ってしまった。どうするんですか、というようなことを言う神経が分かりません。
誰が怒らせたのでしょうか、議会が怒らせたのでしょうか。いや怒らせたのは、このように人の気持ちが分からない市長ではないでしょうか。
いずれにしても被害を受けるのは市民です。いまさら何もならないかもしれませんが、あれが悪いこれが悪いと責任を転嫁する暇があったら、せめて議会ともども
市民に対し頭を下げて謝るべきなのではないでしょうか。
そして今後の対策について早急に発表し、市民の不安を一日でも早く解消するように努めるべきだと思います。
ところで覧]談ですが、条例違反を指摘した私の投稿が今年5月に地元紙に掲載されましたが、その内容は本来、「市役所が報酬や給与などを払う場合には、
法律で条例で決められた額の範囲内でしか払えないと決められていますが、産婦人科医師の報酬は条例で決められた金額より何倍も高いため、規定がなく条例(法律)
に違反している」という内容でした。
私の聞いた話ではこの投稿に対して、市議会の代表的立場にある議員が事務局を呼んで「今回の報酬は条例違反かどうか」聞いたところ、事務局は「問題ない」
と答えたため、議会としても問題にしないことに決めたということです。
それと医師報酬の件について、今年の6月議会で一人の議員が一般質問をしただけで、市議会としては「新聞への投稿のたぐいは相手にする必要がない」と
決めたため、問題として取り上げなかったそうです。
この件について皆さんは何かおかしいと思いませんか。事務局を呼んで「おまえのしたことは正しいのか、間違っているのか」と一度聞いたくらいで、
「間違っています」と答える人はほとんどいません。
先日、全国的に話題になった耐震偽装事件でも現在、起訴されている某社長は「自分が被害者だ」と報道機関に訴えていたくらいですから、
間違った人間が素直に自分の間違いを認めるわけはありません。
それに地元紙への投稿の件ですが、たとえ小さいまちであっても、そのまちの政治にたずさわる者は市民が今何を考え、何を求めているかを知りたいと
思うでしょうし、知るべきです。
そのためには地元紙の記事や投稿は非常に参考になるはずです。それを「投稿のようなたぐい」と頭から否定するような態度には疑問を感じます。
議会と執行部が、仲が良いということは悪いことではないと思いますが、だからといって執行部のすることに何も言えなくなったらおしまいです。
仲の良い友達でも友達が間違っているときにははっきり言ってあげるのが本当の友達です。しかも議会は執行部の監視という役割もあって報酬を
もらっているわけですから、執行部が間違っている場合にはその間違いを正すのが仕事であり、それが市民から選ばれた議員の責務です。
そこを間違って市長と議会がなれ合いになったときに、夕張市のようにどん底まで落ちることになると思います。
ところで、今回の件については市役所も妙なプライドは捨てて、市民のためだと思って何度も頭を下げてでも大学病院の理解を求めるようにするか、または他の
対策を講じるか、いずれにしても一日も早くこの問題が解決し、市民が安心して子どもを産めるようにしてほしいと思います。
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