「三千万なら大学病院の助教授が来る。報酬高すぎ」
 尾鷲市で産婦人科医消滅の危機 …実は中傷が原因…三重・尾鷲

医師2人確保は幸運
尾鷲総合病院産婦人科 市長、記者会見で感想

 尾鷲市の伊藤允久市長は12日開かれた市議会生活文教常任委員会と全員協議会で、尾鷲総合病院の産婦人科継続について「19日に後任医師が着任。来年4月には県外の勤務医も着任するので2人態勢となる」と報告。議会終了後の記者会見で、「医師2人を確保できたことは非常にまれで幸運だった。来年4月にはやっと両肩の荷が下りる。2人態勢は少なくとも3〜5年は大丈夫だと思う」と語った。

 記者会見の冒頭で、市長は「まだすべての肩の荷は下りていないが、来年4月には待ち望んでいた2人態勢になれば両肩の荷がやっと下りる。尾鷲市のような1自治体がたまたま2人の医師を確保できるのは非常にまれであり、率直に幸運だった。尾鷲市と同じように全国的に困っている地域が多くあると思う」と語り、記者の質問に答えた。

後任の医師は長く勤務してくれて、当面は医師確保の心配もなくなると考えているのか。
市長
19日に勤務医として着任する医師は50歳なので、定年の65歳まで15年。できれば定年まで勤めてほしい。医師本人も尾鷲で長く勤務できればと考えてくれている。来年4月に県外から来てくれる医師(65)は最低でも3年は大丈夫だと思う。2人態勢は少なくとも3〜5年は続くと考えている。
今回、2人の医師が尾鷲に手を挙げてくれた。どんなルートで確保できたのか。
市長
いろんな人脈から紹介してもらった。その意味ではかなり幸運だった。
奨励金500万円は医師との交渉で出てきたのか。
市長
尾鷲の地理的な状況から医師確保にはハードルが高く、奨励金は以前から考えていた。今回は三重大から派遣されている他の医師と同じ条件の勤務医となる。不足している産婦人科医師の争奪戦となれば、北勢や中勢に比べて尾鷲に来てもらうのは不利となる。奨励金は他の医師との格差も出てくるので、病院会計からは出せない。
500万円の根拠があるのか。
市長
5年以上の勤務を見込めば年間100万円。それだけの公益性があるので市民も理解してくれると思う。
奨励金を他の自治体でも支給している事例があるのか。
市長
確認はしていない。少なくとも話には聞いていない。
それが今回の医師確保で有効に作用したのか。
市長
市の熱意が医師に伝わっていると思うし、プラスに作用したと思う。
医師確保には今後、奨励金支給の方向になるのか。
市長
三重大から産婦人科医師の派遣がなくなり、市独自で確保する以上は必要だと思う。
これまでの医師の5520万円から2800万円となる。なぜ大きな差がついたのか。
市長
昨年4月に三重大から産婦人科の統合が突然出てきた。待ったなしの事態となり、住民運動にも発展する状況で医師の確保は緊急課題だった。今回は2人目の医師確保で時間的な余裕もあり、契約報酬ではなく勤務医を探していた。
待遇面で難航するような状況はなかったのか。
市長
そういうことはまったくなく、他の勤務医と同じ通常の採用で話をしてきた。全国的に産婦人科医師が不足しており、相場の3千万円を目安に交渉した。少子化対策の目的からも招へい奨励金は必要。
2人目の医師は来年4月の予定だが、遅れる理由があるのか。
市長
県外の勤務医なので勤務先の都合もある。65歳なので報酬での雇用契約となり、年収で3千万円までに抑える。医師も了解してくれている。
来年4月まで1人勤務。三重大からの応援医師は決まっているのか。
市長
産婦人科教授には電話で後任医師の着任を報告し、月1回2日間の休みが取れるよう応援医師の派遣を要望している。医師本人も19日の着任までに三重大へあいさつに行く。産婦人科教授と応援医師の相談もすると思う。
2人目の医師とはいつから交渉していたのか。
市長
複数の医師とかなり以前から話をしていた。中にはだめになったケースもあり、19日に着任する医師とはここ1カ月以内の交渉で決まった。
 
産婦人科医師2人態勢に「幸運だった」
産婦人科医師2人態勢に「幸運だった」 と語る市長
(12日、記者会見で)
   

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引用元:南海日日 10月14日(土)
 
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